どうも、さなぎです。
なんか世の中は暗い話題ばかりだけど、僕は相変わらず好きな音楽を好きでいるよ。
ということで、今日も今日とてUNISON SQUARE GARDENのお話をしていく。
少し前に書いたブログで僕がめちゃオススメしたMODE MOOD MODEっていうアルバムを聴いた人はどれぐらいるだろうか。
……。。。
はい。
そのアルバムには「オーケストラを観にいこう」っていう曲が入ってるんだけどね、それがめちゃ良いのよ。何が良いって歌詞がとても素敵。僕がアルバムの中で最初にハマったのがこの曲だった。
シングルではなくアルバム曲なのでサクッと聴くことは難しいかもしれないけど、そこはもうアルバムを借りてください()
今回は久々に田淵智也が書く"歌詞の良さ"を僕なりに纏めてみるので期待しててね。
聴いてから読むも良し、読んでから聴くのも良し。君の好きにしてくれ。
よし、やろうか。
🍵
まず、この曲は「女の子に恋をする男の子」の視点で物語が進んでいく。場面ごとに区切って歌詞を読んでいこう。
30度を超えた日曜 浮かび始めた汗はそのままにして
走る 間に合いそうかな
缶コーヒーを開けるみたいに少しの行動力で片が付けば
何も難しくないのに けど それじゃ 張り合いがないのかな
デートの約束だろうか。男の子が女の子に会う前のシーンだ。
缶コーヒーってちょっと開けづらいよね、それを少しの行動力や勇気みたいなもので表すのは本当に意味がわからない(褒めてる)。
そんで、この冒頭全体からは少し奥手な男の子感が伝わってくる。なんてことない事に対して悩む。行動力がある人への憧れ。などなど。
髪を切ったのも気づくし好きな番組だって知ってるよ
ただ大事な事がまだ一つだけわかってない 依然信号待ち
この表現!!!外見の細かいところも見てるし、雑談とかでしか知りえない内面まで分かっていることを表している。ここ凄い好き。
でも、彼女の気持ちだけは分かってない。
信号待ちという言葉を選ぶことで、彼女との関係が進まないことと、遅刻しそうな現在の場面が重なっている。うまいよねぇ。
オーケストラを観にいこうよ まだちゃんと声にできないから
ああ この心の高鳴りに嘘なんかありっこないけど
吐息も聞こえる10センチ ねえ僕の気持ちに気づいてるの?
ああ 焦れば消えちゃいそうです oh yeah 今回も少々だけ
サビに入る。まだちゃんと声に出来ないからオーケストラを観に行くらしい。
何が声に出来ないのか。胸の高鳴りだ。あれ?これ高鳴りのソルフェージュ考察だっけ?
10センチって相当近いんだけどこれはどういうことなんですかねぇ…まあこれ比喩なのかもしれない。一緒いる時はそれぐらいの近い距離で接してくる。「もしかして、、、?」みたいなね。
そして、消えちゃいそうな「何か」は今回も少しだけらしい。これについては後で。
何気なく差し出され何気なく取ったチューイングガムのフレーバー
どうしてかな 書いてある果物とは違う甘い香りだけが横切った
二番に入る。
あのですね。
この部分、宇宙一好きです。
だってやばくないか、全てが甘い。
絶対女の子の匂いじゃん!!はー!ズルすぎ!
風でなびく髪の毛からシャンプーの香りがした(想像)。何気なくガムを渡す動作でさえ、彼女の好きなポイントがあるんだよね。
どうしてかな、って分かってるくせにね。
なんだこれ、青春か。
偶然の可能性とか もしや嫌われてしまうだとか
無駄が過ぎる想像も目の前で鳴る旋律で無理やり解をつける
ここで少し種明かしをしている。目の前にいるのは彼女だとして、旋律とは胸の高鳴りが想像される。
つまり、胸の高鳴りが"音楽"になっているということだ。あれ?これ本当に高鳴りのソルフェージュかな?
高鳴りのソルフェージュを考察してみたら地獄だった話 - 小物語
↑これも頑張って書いたので読んでみてね。
タクトみたいに揺れ動く 感情の迷いに合わせて
ああ 頭の中言葉たちが大合唱で どうやって選ぼう?
右も左もわからないまま君の事を想いながら
ああ 物語は進むのです oh yeah ノンストップでクレッシェンドで
2番サビ。「タクトみたいに揺れ動く」と「右も左もわからない」を同じニュアンスに合わせている。
彼女への想いを言葉に出来ない男の子の感情が伺える。しかし時間は進んでいく。そしてその想いも次第に強くなっていくのだ。(クレッシェンドで)
単純に奏でられそうなSonatine from the heart
どんな名演奏よりも綺麗な自信はあるんだよ だけどさ
届け方は皆目見当がつかない!
Sonatine(ソナチネ)というのはソナタの小さい版らしい。通常のソナタの構成は基本的に、序奏・提示部・展開部・再現部・結尾部からなるが、ソナチネでは展開部が短い。(ドヤ顔Wiki出典)
つまり、心の揺らぎや感情の高ぶりなどが余りに露骨な為に、ソナタの簡易版で単純に構成することが出来てしまうということになる。
そして奥手な男の子であるけども、彼女への想いは誰にも負けないと言わんばかりの発言である。この言い回しも良いよね。"想いが強い"というのを音楽に変換した時に、"綺麗"と表現する。音楽が好きな男の子らしい言い回しだ。
しかし、この想いを音楽に変換したとして、一体どうやって伝えるのだろうか。
オーケストラを観にいこうよ まだちゃんと声にできないけど
ああ 気持ちは膨れるばかりさ そんな今日は、一体第何楽章?
はい、ここで皆さんに質問。
ここまで書いてきて察している方もいるとは思うけど、この"オーケストラを観に行く"という言葉。比喩なのか、それとも実際に行っているのかという二通りの考えがあるのだ。
想い→音楽 に変換した後にそれを伝える方法に迷っていた男の子が決断した"オーケストラを観に行く"という行為。
例えば前者の場合、自分が書いたラブソングを自分で歌うシチュエーションに近い。自分の想いをオーケストラにしたから聴きに行こう(想いを聴いてほしい)→告白する。のような流れだ。
後者の場合、オーケストラを実際に観に行くことで、演奏と自分の想いを重ね合わせて彼女に聴いてほしいということになる。
これについての僕の結論は最後に述べようと思う。
そして、「今日は、一体第何楽章?」である。
楽章とは主にソナタなどで用いる大きな区切りだ。先も述べた通り、男の子にとって彼女との時間は音楽(ソナタ)であって、今日は一体どんな想いを抱くのかと期待しているのだ。
オーケストラを観にいこうよ まだちゃんと声にできないから
ああ この心の高鳴りに嘘なんかありっこないけど
吐息も聞こえる10センチ ねえ僕の気持ちに気づいてるの?
ああ 焦れば消えちゃいそうです oh yeah 今回も少々だけ
帰り道も君を想うのです oh yeah 一瞬の連続が最高の楽譜になるように
ラストサビ。最後の2行を読んでほしい。
「一瞬の連続が最高の楽譜になるように」
何気なくとったチューイングガムの時のように彼女を想うその一瞬の出来事が音色になり、それが積み重なってソナタを形成する楽章になる。そして最終的には、ひとつの楽譜になるように。
ここで先に述べたオーケストラ問題だが、きっとその楽譜が完成した時に"彼のオーケストラ"が完成し、それを彼女に聴かせたい、だから見に行こうということなんだと思う。つまり前者と後者の融合に近い。自分が作曲したラブソングを自ら演奏するのではなく、一緒に聴きたいという、なんとも奥手な男の子らしい表現方法だ。
「いい曲が書けた!歌うのは僕じゃないけどね!」なんてどっかの田淵智也は言いそうだが、いかにもそんな感じの男の子が主人公のラブソングであった。
🍵
ということで、今回はこんな感じで。
この曲みたいに露骨なラブソングってユニゾンにはあんまりない気がする。
露骨なラブソングといっても、面白いのが一回も「君が好き」や「君が◯◯した」とか彼女への想いや具体的な行動は何も書かれていないところだ。せいぜいチューイングガムの下りぐらいだろう。
でもラブソングだって分かるし、なんとなく情景が浮かんでしまう。
抽象的な表現を多く使うことで少しの状況描写がより際立つ。深読みがしやすいよね。
遠回しなようで、ストレート。
いやぁ、ほんと良い曲だなぁ。ライブでもこの曲の演出にはこだわりがあって、より"綺麗"に仕上がっているので、詳しくはMMMの円盤をどうぞ。
はい。
そういえば、今日は15周年記念のB面アルバムの発売日だね。おめでとうございます。
これからも聴く理由が出来てしまったね。
何かあったらまた書きます。
それでは、また。